幸せって〜Ⅵ

02年の春の危機を乗り越え、私たちは、やり直すことができました。
でも、不安は少し残っていました。
やり直すことにはなったけど、結婚という言葉は、お互い出せませんでした。

それから、1年、順調に交際を続けることができ、私の心の不安は、だんだんなくなってきていました。
春、夏、秋、冬、春、夏と。徐々に。


1年後の秋(03年の秋)でした。
彼から、電話があり、私の事を
「おまえは変わった。前はそうじゃなかった。もう、やっていけない。」
と言いました。
またか、と思いました。
私が変わったのではなく、彼からの私を見る目が変わったのです。そう思いました。
私は悲しくて、もの凄く落ち込みました。


その落ち込んでいるときに、私の祖母も亡くなってしまいました。
母は勤めに出ていたので、幼い頃、私と弟の面倒を見てくれたのは祖母でした。母のような存在でした。とても厳しかったけど、いつも心配してくれました。
高齢だったし、最後はボケが進行していて、覚悟はしていたけど、こんなに早く逝ってしまうとは思っていませんでした。
お葬式が終わるまでは、慌しくて悲しんでいる暇はなく、落ち着いて少し時が過ぎてから、悲しさが。


彼のほうも大変だったようです。
彼の母親の病気が再発した徴候があって、検査結果を待っているという時でした。
そのような時だったので、私の言葉が、気に障り、私がどんな言葉をかけても、心を開いてはくれませんでした。大変なときこそ支え合わなければいけないのに。
彼は、一人でした。
私も。


もう、駄目か、と思いました。
今度は、もう元には戻れない、と。


そんな時、彼は自分が悪かった、と言い、
「お前は、変わってない。ただ、成長しただけだった。俺の見方が変わったんだな。」
と気づいてくれました。
そして、プロポーズ。
中島美嘉の「雪の華」の歌詞をメールでくれました。
そして、もう絶対に離れないからと。


嬉しかったです。
相談していた友人には、
「それでいいの?あなたがいいならいいけど、私はそんな男は見捨てるよ。」
と言われましたけど。


でも、私は嬉しくて、
私と一緒に居たい、と言ってくれた彼の言葉が嬉しくて、迷いませんでした。
不安がないわけではなかったけど。


そして、結婚を決めました。


彼は、本気で私と別れようとしたそうです。
でも、これまでの2人の過ごしてきた時間を振り返り、私を失いたくないと思い直したのです。
彼の部屋の台所のシンク下の扉を開けて、2人で買った調味料を見たとき、思わず泣いてしまったと、彼から聞きました。
私も、1人で、いっぱい泣きましたけど。


03年10月からの2か月間のできごと。
その辛さを2人で乗り越えたからこそ、今があるんだな〜。
おしまい。