祖母

去年、亡くなった祖母。
お嫁に来たのは、25歳、昭和18年頃だと思う。
嫁ぎ先の候補は3人、居たそうだ。
生前、祖母は私に、「名字が気にいったから、私はこの家にお嫁に来たんだ」と
話してくれました。
昔、顔も知らない男性と結婚する時代。
亡くなったあとで叔母(祖母の実娘)に聞いたのだが、祖母は、祖父が初めて自分の家に結婚の挨拶に来たとき、どうしても顔を見たくて、庭の柿の木に登って上から見ていたとのこと。
さすがは、おばあちゃん。

祖父が亡くなって13年過ぎ、祖母も。
祖母は祖父が亡くなってから、毎日のように、眠る前、仏壇に手を合わせ、
「じいさん、今日も一日(無事)終わったよ。ありがとう。」
と話しかけていました。
おじいちゃんのこと、本当に好きだったんだな。
顔も、どんな人かも知らないでお嫁にきたのに、ね。

亡くなる前の1年はボケが進行して、可愛そうな状態でした。
そんな姿を見るのも辛かったけど、時々、普通に戻り、自分でもわかっているようで、何か辛そうでした。
祖母は、平成14年(午年)の1月から、約3か月、時々、日記を書いていました。
カレンダーをA4サイズぐらいに切りそろえ、紐で閉じられた日記。
お葬式の朝、私の母が見つけました。
祖母の思っていること、大事にしていること、色々書いてあり、涙が溢れそうでした。
その中に、
「お金のために、生きるのではない。お金は後からついてくるものです」
「やりたい事が、色々あったのに、できなかった。後悔で涙が絶えなく流れる」
「鳥は、どこへでも飛んで行けていいな。私は手足動かすのが辛くなってきた」
「今日は、じいさんの命日、娘(私の叔母)がお墓参りにきてくれました。ありがとう」
など、記されていました。

祖母は、厳しく口うるさい人でした。私の母にも大変厳しく接していたのに、
嫁の悪口とか、一つもありませんでした。
口では辛く当たっていても、心では、感謝していたのかなぁ。


12月13日、今日は亡くなった祖父の誕生日だった。